EXILE ÜSA「もともとDANCE EARTHのプロジェクト自体は2006年、約10年前から旅をスタートさせたところから始まりました。世界のダンスを踊ってみたいという夢から、まず最初にキューバの人たちと踊った時に、知らない者同士がダンスの力によって一瞬で近づけたんですよね。踊りがない国も民族もない。だからダンスという世界共通言語を使って世界の人とつながれると思って。DANCE EARTHの旅を続けてきて、これまでに書籍やDVD、絵本や舞台で表現してきました。そこから、次は音楽で表現したいという気持ちを僕なりに表現したのが、DANCE EARTH PARTYです。ひとりで旅して踊るより仲間がいた方が楽しいので、一緒に踊る人いないかなと見渡したらTETSUYAがいて、僕らは歌えないのでこの気持ちを歌で表現してくれる素敵な人いないかなと見渡したらShizukaちゃんがいたんです。一緒にPARTYを組んで、いろんな世界の音楽の旅をしていこうというのが、DANCE EARTH PARTYのコンセプトですね」
EXILE ÜSA「最初はDANCE EARTHの舞台に出演してもらって、その世界観を感じてもらうことでどんどん共感してくれて、一緒に活動したいと思ってくれたんだと思います。TETSUYAは僕が行った旅にもついてきてくれましたしね」
EXILE ÜSA「そうですね。「BEAUTIFUL NAME」の原曲を聴いた時に、ゴダイゴさんの歌詞が凄くピースフルでDANCE EARTH PARTYで表現したいことに物凄く近かったんです。ぜひ現代の人にも聴いてもらいたいと思って、カヴァーさせていただくなら踊れるアレンジにしたいと思ったんです。それなら絶対にスカのリズムが合うと思って、せっかくならスカを世界に広めた大御所にオファーしてみようとダメ元でお願いしたらOKいただけて嬉しかったですね」
EXILE ÜSA「実は自分がEXILEのパフォーマーを勇退することを決めた時期から構想していた曲で、今いる場所から離れて次の夢の場所へ向かう時の気持ちがテーマなんです。カントリーミュージックとEDMを融合させたばっちりなトラックをいただいたので、夢見る者たちが目指す道のりこそが楽園だという曲を作ることにしました。そこで背中を押してくれるような、最高のラップをしてくれる人は誰がいいだろうと思った時に、ずっと好きだったラッパーのMummy-Dさんしかいないと思ってオファーしました」
EXILE ÜSA「いろんな世界を旅してきて、いろんな人たちと踊ってきた中で、みんな自分の国とか民族に誇りを持って踊っているのが凄くかっこ良いなと思っていました。そこでその人たちに決まって質問されるんですよね。「あなたの国の踊りはどんななの?」と。その時、明確な答えを自分は持っていなかったんです。それが恥ずかしくて…。これはもう一度、自分たちの国、日本を踊る旅をして、そして世界の人と出会った時に自分の国の踊りを発信できるようにしたいと思ったんです。やっぱり日本には八百万神(やおよろずのかみ)がいて、すべてのものに神が宿るって教えがあって、その神様の数ほど踊りがあって祭りがある。だから、踊り人口密度的には世界一くらいのレベルなんじゃないかと思って、その祭りで踊る旅を2013年から始めました。あと、世界の人から見る日本人って「どこかシャイで踊りとか参加しない民族だよね」ってイメージがあるらしいんです。でも、僕が見た日本の祭りでは、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでみんなが踊ってるんですよね。そこで僕らの国は踊る国だと確信しました。それを知っただけでも今後の旅が変わってくるし、自分の国に誇りが持てた瞬間でしたね」
EXILE ÜSA「僕ら日本人は、みんなで合わせて踊るのが好きですよね。盆踊りもそうだし。みんなで同じ動きをして一体感やつながりを感じる。そういう踊りが多い気がしますね。輪になって踊る意味を掘り下げると、凄く面白い話があるんです。というのも、盆踊りは亡くなった先祖がお盆に帰ってくる時期に踊りますよね。もちろんいい霊もいれば悪い霊もいるわけですが、悪い霊だけ跳ね返しちゃうと、またいつ戻ってくるかわからない。だから、いったん輪に入って楽しんでもらって「また来年」って気持ちよく送り出す意味があるそうなんです。おもてなしをして送り出すっていう、凄くいい考え方ですよね。ということは、祭りは楽しければ楽しいほどいいってことですよね。僕が新しくお祭りを作れる時があったとしたら、輪になってとにかく楽しいお祭りにしたいと思いましたね」
EXILE ÜSA「どのお祭りもすべて印象的だったんですが、エピソードとして挙げさせていただくとしたら、踊っていて楽しくて一番エネルギッシュだった阿波おどりです。クラシックな基本となるステップから、だんだん激しいビートになってくると暴れ踊りに変わってくるんです。そうなってくると、ほぼほぼHIP HOPのランニングマンの動きと同じなんです。それが楽しくて(笑)」
EXILE ÜSA「はい。踊りだけじゃなくて、意外な接点を感じることが結構ありましたね。島根県の石見神楽に行った時も、その太鼓を聴いていたらアフリカの太鼓と似ているリズムがあったんです。出雲にいながらアフリカを思い出すという、不思議な体験をしました。お面にもいろいろあって、日本独自のものというよりは大陸から渡ってきたものも取り入れながら、作っていったと思うお面も多いんですよね。日本のお祭りを巡ってみて、音楽も踊りも衣装も、その地域だけで生まれたものではないんだと感じました。そういう意味でも、世界を旅して楽しいと思ったものはどんどん取り入れて、それを僕なりにアレンジして作っていくという考え方は、正解なんだって感じましたね」
EXILE ÜSA「いきなりアポなしで行くと迷惑をかけてしまうこともあるので、そういうことを避けるためにお祭りの団体やチームに声をかけさせていただいて参加しました。でも、そういった窓口がない場合は、変装ですね(笑)。手ぬぐい巻いたり、顔を白く塗ったり、なるべく迷惑をかけずにその土地の踊りを楽しみたかったので、世界を旅してる時と同じような条件でやれるように工夫しました」
EXILE ÜSA「日本の踊りはいつから始まったのか調べていくうちに、古事記に書かれている天岩戸(あまのいわと)神話に惹かれたんです。その神話に書かれていたのは、太陽の神様がすねて岩戸に隠れてしまった時に、八百万の神々が集まって会議をしたという話。そこで神々が出した答えが「踊ろう」だったんですよ! もうテンションが上がっちゃって(笑)。神様も踊りが好きなんじゃん! って。その時の踊りの様子や雰囲気を現代版にして、古事記を今時期(こんじき)にしたいなって裏テーマを持って制作に入りました。この天岩戸神話がメッセージとして残そうとしたことは、きっと岩戸は人の心の状態なんですよね。それが閉ざされてしまうと、世の中が暗く見えてしまう。その岩戸を開かせるためには、音楽と踊りが最適だってメッセージと自分は解釈したんです。そうして、僕も祭りを作ろうと思ったんです。400年前に始まった伝統的な祭りも、400年前に誰かが始めたことですよね。その瞬間を僕たちもやりたい、この時代にも必要な音楽と踊りと衣装とお祭りがあるはずだと思ったのが、この楽曲をスタートさせるきっかけです」
EXILE ÜSA「そうですよね。ちょうど今は時代の変わり目にきているとも感じますしね。時代的に切り替わる時やピンチの時って、きっと踊りや祭りが必要なんだと思います。そのひとつになりたいです」
EXILE ÜSA「古くからある日本の和楽器を取り入れたいという気持ちが最初にありました。それと同時に、最先端のダンス・ミュージックと融合させたいという構想もあったんです。今回は和楽器をDRUM TAOさん、最先端のダンス・ミュージックを作れる最高の若手ということでbanvoxくんにお願いしました」
EXILE ÜSA「和太鼓奏者ですばらしい方はたくさんいますが、DRUM TAOさんの場合は見せることに優れているんです。日本だけに留まらず、世界で700万人も動員できるエンターテインメントを魅せれるわけですから。楽曲に参加してもらうだけじゃなくて、魅せることも一緒にやりたいと思ったのでDRUM TAOさんにオファーしました。今回は血が騒ぐ太鼓の音だけじゃなく、笛と鐘も音も入れています。そのグルーブを感じながら、エネルギーをもらいながら踊りました。でも、太鼓とか笛の音を生で聴くと、レコーディングの晩とか寝れないんです。音は耳だけで聴いているんじゃないってことを痛感しましたね。細胞が踊ってしまうので、そりゃあ眠れませんよね(笑)。それくらい力があるものだと再確認しました」
EXILE ÜSA「僕が初めて知ったのはTV CMですね。なんだろうこの音、新しいな、踊りたくなるなと思って調べたらbanvoxくんの仕事だったんです。今、日本でかっこいいダンス・ミュージックを作れる数少ないプロデューサーのひとりだと思います。実際オファーするに当たって、まず食事会に誘ったんです。そこで音楽の話をしていくと、彼もHIP HOPが凄く好きで、かなり話が盛り上がったんです。その時にコンセプトも伝えて、一番乗りやすいBPMって何だろうって話になった時は僕がその場で踊ってbanvoxくんにイメージしてもらったり」
EXILE ÜSA「Shizukaちゃんの声を取り込んで、それを加工して音に変えていく作業は面白いなと思いました。今までそういう作業をやったことなかったですね。あと、ダンス・ミュージックはキックだという持論があるようで、とてもこだわっているんです。確かに爆音で聴くと刺さるような鋭いキックなんです。これはあまり体感したことがない、踊るにはぴったりのトラックだと思いました」
EXILE ÜSA「打ち込みの機械的な音と、温かみのある生音との融合は、一番難しかったところでした。太鼓と笛の力が強いので、出しすぎると歌や他の音が埋もれてしまったり。banvoxくんをかなり悩ましてしまいましたけど、曲が完成した時は最高のハイタッチができました」
EXILE ÜSA「3年前くらいに〈NEO ZIPANG〉の構想を考えてる時に、たまたま山本寛斎さんが手がけた衣装をみて「これだ!」と思ったんです。でも、斬新すぎて似たようなテイストの衣裳はどこにも売ってないわけですよ。で、今年に入ってバーで飲んでいる時、たまたま隣に座った方の待受画面が山本寛斎さんの衣装だったんです。それが目に入ってしまって、僕から声をかけたんです。そうしたら「私がデザインしたんですよ」と、その方が実は山本寛斎さんと一緒に仕事をしていたデザイナーさんだったんです。そこでいろんな想いを話させていただいて、テキーラで乾杯して(笑)、最後はマネージャーさんに名刺を交換してもらったと。その後、今年の4月に京都の清水寺で祈りの踊りを奉納することになった時の衣装をその方にお願いしたんです。その後すぐに山本寛斎さんご本人ともお食事会の機会をいただいて。そんなご縁があって、今回の作品でもお願いすることになりました」
EXILE ÜSA「DANCE EARTHのコンセプトをお話して、日本なんだけど新しい民族に見える感じがいいですねってリクエストしたところ、まさにぴったりな衣装があると見せてもらったんです。寛斎さんもいろんな世界を旅していて、そこで面白いと思った布やアクセサリーをいっぱい買って帰るそうなんです。その布をつなぎ合わせて、ひとつの服にした衣装を見せてもらったんです。そこでもう「これだ!」と思ってしまいました。いろんな世界を旅して集めたものが衣装になって、トータル的に見ると和を感じる。もうまさに「NEO ZIPANG 〜UTAGE〜」の世界観そのものでした」
EXILE ÜSA「まちがいないですね。後半、派手な衣装に変わるんですけど、それは寛斎さんがパプアニューギニアを旅している時にジャングルの中でひと際目立つ鳥を見つけて、その色に注目したらしんです。そこから、森の中のシーンでも映える色だけで衣装を作ろうってアイディアが浮かんだという、本当に凄い発想力の方なんです。今後、僕が新たなお祭りを作るにあたっても、継続して衣装をお願いしたいと思うくらい、今回は最高のコラボができました」
EXILE ÜSA「今回、日本の旅がベースとなっていて、そこで気に入った動きを取り入れています。例えば阿波おどりの手と足の運び方だったり、サビではねぶた祭のハネトの動きが反映されていたり、ソーラン節の手が反映されていたり、どじょうすくいが入っていたり。それをHIP HOPと混ぜてアレンジして取り入れてました。もちろん輪になってみんなで一緒に踊れる振りつけも考えましたね」
EXILE ÜSA「歌詞の世界観は、裏テーマにある天岩戸神話の現代版ですね。歌詞にどうしても入れたかったのが〈オ・ド・ン・ナ・キャ、モッタイナイ…!〉というフレーズです。世界の人が知っている日本語として浸透している〈モッタイナイ〉は必ず入れたいと思っていました」
EXILE ÜSA「特になくてお任せでした。というのも、もう彼女とは何曲も作ってきたので、どの楽曲も自分のものにしてからブースに入るマジメなボーカリストなので完全に信頼してお任せしました」
EXILE ÜSA「DANCE EARTHの舞台に出演してもらっていたり、普段一緒に踊りに行ってる仲間を中心に、エアリアルやポールダンサーにも参加してもらいました。みんな踊りを通じて知り合った仲間です。HIP HOPでもそれぞれのスタイルを持っていて、いろんな国にルーツを持った人たちが参加しているので、そこもDANCE EARTHっぽさにつながったと思います」
EXILE ÜSA「この曲を聴いて踊りたいと感じてもらいたいですね。心が踊るような気分になってもらえたら嬉しいです。その先にはきっと〈NEO ZIPANG〉の祭りがあるはずなので、それを楽しみにしていて欲しいです」
EXILE ÜSA「ポーランドで、HIP HOPヒストリーっていうフル・オーケストラがHIP HOPの名曲を演奏するコンサートの映像を観て凄く感動したんです。このメロディってこんなに美しかったんだとか、新たな発見もあったり、またHIP HOPが好きになった出来事だったんです。こういうアプローチがありなら、HIP HOPを和楽器で演奏してみたら面白いんじゃないかと思って「NEO ZIPANG BREAKS」を作りました。和を感じるHIP HOPの曲ということで、WU-TANG CLANとMISSY ELLIOTとJAY-'Zの曲をオフィシャルでカヴァーしています。自分たちが祭りを作った時には、もっとカヴァーする曲を増やしておきたいです。そんなお祭りがあったら、自分なら絶対に行きたいですから。そこで日本酒飲みながら踊りたい(笑)。まだ1曲ですが、これをひとつのジャンルとして膨らませたいです」
EXILE ÜSA「HIP HOP好きな人には説明不要なカヴァーだと思うので、和楽器で奏でられていることの面白さを感じて欲しいですね。HIP HOPを聴いていない人も、新しい日本の祭りでかかっている曲として捉えてもらって、HIP HOPやお祭りが好きになってもらえたら嬉しいです」
EXILE ÜSA「これはTETSUYAを中心に構築していった曲なんです。一緒に日本を踊る旅に参加してくれて、その中でよさこい祭りを体感して、前に進む踊りって素敵だよねって話になったんです。そこで、街を練り歩くマーチを作ろうってことで「NEO ZIPANG MARCH」の制作がスタートしました。僕もTETSUYAも港にゆかりのある町で育っていて、港って新しいものが出入りする、世界とつながる場所でもあると思うんです。〈NEO ZIPANG〉のコンセプトには、海を越えて届けたいという想いもあるので、そこも曲の世界観に入れ込みました」
EXILE ÜSA「インターナショナルなVERBALくんに僕らの気持ちを代弁してもらったら、これは素敵な曲になるんじゃないかってアイディアでオファーしました。僕らの想いだけ伝えて、あとはVERBALくんにお任せしました。イメージ的には、〈NEO ZIPANG祭〉があって、夕方あたりに「NEO ZIPANG MARCH」で登場して、「NEO ZIPANG BREAKS」で盛り上がって、最後「NEO ZIPANG 〜UTAGE〜」で締める流れですね。今回のシングルは実際の祭りをイメージして、そのテーマ・ソングを作っていった感じです」
EXILE ÜSA「最近はTETSUYAと一緒にいることが多くて、本当に相棒みたいな感じになってますね。想いも共有できているし、具体的にどういう動きにするって時もイメージを形にしてくれるので、パフォーマーのパートナーとしても最高です。今後も旅を通じて新しい発見を共有していきたいですね。Shizukaちゃんはとにかく歌が素敵で、透明感があるんです。だから、いろんな世界の色があっても馴染みやすいんだと思います。これからも僕らの気持ちを歌で代弁していって欲しいです」
EXILE ÜSA「多様性ですかね。地域それぞれの誇りを持っていて、そこに音楽や踊りやお祭りがあって、みんな違うんだけどみんな同じっていうところに和の心を感じました。同時に、その和の心を世界に広げていきたいと思いました。僕らができることは踊ることやエンターテインメントを作ることですけど、それで人々の心が開放されたり楽しい気持ちになったり、そういう瞬間に関わっていけたら幸せですね」
EXILE ÜSA「新しい民族の新しいお祭り、ですね」
EXILE ÜSA「スカをやったりカントリー・ミュージックとEDMの融合をやったり、今作では日本をフィーチャーしたり、いろんな世界の音楽を表現していくグループなんだなってことが伝わればいいですね。これからアルバムも作りたいと思っているので、そのアルバムを聴いたら世界を旅した気分になれるような曲を作っていきたいと思っています」
EXILE ÜSA「夢としては、日本にダンスの日を作りたいと思っています。その日は祝日で、日本中でいろんな踊りが踊られていて、踊ったことがない人も踊っちゃう気分になれる楽しい祝日を作りたいです。4月22日がアースデイなので、その日をダンスの日にしたらDANCE EARTHの日になるので、日本発信で浸透していったら素敵ですよね」
EXILE ÜSA「衣食住と同じくらい、大切なことだと思っています。いつの時代も苦しいことや悲しいことがたくさんありますけど、歌ったり踊ったり手をつないだりしながら、どの民族も乗り越えてきたからこそ今がある。そこには踊りというものの役割があったと思いますし、この時代でも踊りは必ず必要とされているはず。踊りの力を信じて進んでいきたいと思っています」
EXILE ÜSA「日本の古くから伝わる楽器を取り入れた、新しいダンス・ミュージックが完成しました。ぜひこの曲を聴いて、お祭りに行くような心踊る気分になってくれたら嬉しいです。そして、いつか新しいお祭りを作るので、そのときはぜひ遊びに来てください」