-解説-
この作品は松竹と立命館大学
そして長居映画の歴史を誇る
京都太秦商店街の人たちが
映画再興の熱い想いを込めて描く
ラブストーリーです
山田洋次監督
◆山田洋次監督が22人の学生とともに作り上げた
映画の街・京都太秦を舞台にした人と人のつながりを描く物語。
映像制作の未来を見据え、2007年より立命館大学と松竹株式会社が全面的に提携をして取り組む中で、大きな柱として企画されたのが、この『京都太秦物語』です。
京都府からの協力も受け、映像制作において『産・学・公』が提携した作品となりました。
本作の製作は、山田洋次客員教授の直接指導・監督の下、学生たちが、2008年度よりシナリオ創作のための調査を行い、準備を重ね、2009年9月から撮影を開始しました。
撮影中は、22名の学生が、選び抜かれた俳優と、太秦大映通り商店街の人々を中心とする映画の都"京都"の協力を得て、本物の映画作りを実際に経験し、ついに2010年1月に本作の完成を迎えました。
◆『ぼくは、この映画が失敗したら腹を切る。商業映画を作らないと意味がない』
山田洋次監督が、客員教授として立命館大学映像学科の学生に宣言して約2年。
「おとうと」に続く山田洋次監督最新作は、日本を代表する映画監督が、学生スタッフとともに35ミリ長編劇場映画を作るという、映画史上稀に見る挑戦となりました。
全身全霊をかけて、未来の映画人の育成を本物の映画作りを通じて試みるという情熱に、立命館大学と松竹が応え、阿部勉共同監督を筆頭に、山田組スタッフ、主旨に共鳴した俳優、舞台となる大映通り商店街の"京都の人々が結集しました。
◆俳優と実在の商店街の人々が競演し、
ドラマとドキュメンタリーが融合するまったく新しい作品が生まれました。
キャストは、ヒロインの京子役に、松竹110周年記念オーディション"STARGATE"でグランプリに輝いた海老瀬はなさん。
幼なじみの康太役に、EXILEのメンバーであるUSA。
京子に恋をする大地役に、劇団俳優座の若きエース、田中壮太郎さん。
そして、大映通り商店街の人々、立命館大学の人々などが出演。
プロとアーティスト、職人や学者をはじめとする魅力的なアマチュアという多彩で個性的な出演陣となりました。
特に、長年の"寅さん"ファンで山田監督を深く敬愛するUSAは、お笑い芸人を目指す豆腐店の息子という役を快諾。
映画初出演のUSAが、映画の中で見せるダンスは、ファンならずとも必見のパフォーマンスとなっています。
また劇中には商店街の人々のインタビューも挿入され、ドキュメンタリーとドラマの融合という新しい試みが行われています。
このようなユニークな企画に海外からの注目度も高く、第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に招待されました。
現地での上映チケットは全て完売し、途中で席を立つ人もほとんどおらず、上映後に登壇した学生たちにはたくさんの温かい拍手が送られました。
この反響を受けて、毎年5本程選ばれる追加上映作品の1本にも選ばれるなど、高い評価を獲得しました。