INTRODUCTION
大人のための素敵な寓話が誕生した。
登場人物たちの心の葛藤が、時にユーモラスに、時に優しく丁寧に綴られ、人生の岐路に立った者たちに向けて温かな希望を投げかける――。
原作は、登場人物の繊細な心の動きや、大自然の描写の美しさで絶賛されている宮本輝の同名小説であり、長きに亘って映像化は不可能とされていた。
その名作を、『八日目の蝉』で第35回日本アカデミー賞最多10部門を受賞するなど2011年の映画賞を総ナメにした成島出が監督。
原作と同じ舞台設定となるパキスタン・フンザで、日本映画初の本格的な長期ロケを敢行し、見事な映像を納めることに成功した。
キャストには、憲太郎役に優しさと強さを圧倒的な存在感で表現する佐藤浩市、
親友の富樫役に、ジャンルを越えた活躍を続ける西村雅彦、
貴志子役に、幅広い世代の女性に絶大な支持を得る吉瀬美智子が配されるなど、見ごたえ十分な布陣となっている。