【約束の空】

――『約束の空』は、TAKAHIROさんのお祖父さまを想って書かれた歌詞だと伺いました。
「実は4〜5年ほど前に書いて、プリプロもしていた曲なんです。僕がEXILEに加入した一年前の2005年に、大好きだった祖父が亡くなった。今のこの姿を、大好きな祖父にも見せてあげたかったですね」

――TAKAHIROさんにとって、お祖父さまはどのような存在なのでしょう?
「祖父は吝嗇な部分がまったくなく、人望が厚くて、本当に威厳のある人でした。祖父には小さいころから、たくさんのことを教えてもらいました。たくさん褒めてくれましたし、もちろん怒られたこともたくさんあった。本当にすごくかわいがってもらって、僕のなかで祖父の存在というものは、とても大きいものなんです。戦争時代を乗り越え、一家を背負って何もない時代を生き抜いてきた祖父。現代を生きている僕らには微塵も想像できない時代を乗り越えてきたからこそ、ちょっとした一言が名言として、僕の胸に残っているんだと思います」

――歌詞にもありますが、子どもながらにもその名言の数々は胸に響いていたんですね。
「祖父の発する言葉ひとつひとつに重みがありました。もちろん、子どものころにその言葉の意味を100%理解できていたかと言えば、当時は理解できていないものもあったと思います。でも、胸に深く刻まれていました。大人になるにつれ多くの方と接するときに、その言葉の意味を少しずつ体感するようになった。“あのとき言ってくれた言葉の意味は、こういうことだったんだ”って、胸に響く瞬間がたくさんあった。そんなときにこの曲と出会ったんです」

――歌詞はどれくらいで書き上げたのでしょう?
「あっという間に書き上げました。歌詞を書く際、景色や場所がこんなにも明確に、鮮明に蘇ったことは、初めてに近いかもしれない」

――今回、ファーストソロシングルにこの曲を収録するにあたり、どのような想いがありますか?
「ずっと温め続けてきた楽曲で、さらに個人的に想い入れの強い曲でもあるので、EXILEではなかなかお披露めできる機会がありませんでした。でも、今回のファーストソロシングルで、個人的に想い入れの強い曲を収録したほうが、きっと応援してくださっているファンの皆さんの胸にも響くと思ったんです」

――『約束の空』が、リスナーにとってどのような存在になってほしいですか?
「まず、東日本大震災という突然訪れたあの未曾有の震災で、本当に突然……大切な人を失った方々もたくさんいらっしゃると思います。震災から約2年が経った今、未だ気持ちの整理がつかず、もしかしたら時が止まったままの方もいらっしゃると思うんですけれど、失ってしまった大切な人を思い出す余裕がもし少しでも心にあったら、この曲を聴きながら思い出してみていただけたらうれしいです。また、最近すごく感じるんですけれど、家族の大切さを軽んじている人が多くなっている気がしていて。そういう光景を目の当たりにしたときに、ものすごく疑問を感じるんですよね。家族を亡くしてから、そのありがたみに気づくのは遅いと思いますし、知らず知らずのうちに家族や両親からたくさんのことを教えてもらっていることに気づいてほしい。この曲を聴いて、今一度“家族愛”や“家族の大切さ”を感じていただけたら、きっと天国にいる祖父も喜ぶと思います」