EXILE Member 楽曲解説
TAKAHIRO
この楽曲をとことん聴いて楽しんでいただいて、皆さんが、追われている不安や悩みをその瞬間だけでも忘れられて、それで明日への活力になれたら
―今までのEXILEの楽曲にはない、すごく新しいサウンドが印象的な今作『ALL NIGHT LONG』。レコーディング時のエピソードを教えていただけますか?
「まさに、これからのEXILEの可能性を示唆しているというか、そういうものを象徴するようなサウンドになっていると思います。レコーディングは、結構難しかったですね。制作面でのエピソードだと、この楽曲をレコーディングする前に新しいマイクを使い始めたんです。そのマイクが、最近の僕の声とすごくマッチするんですよね。『ALL NIGHT LONG』は、かなり新しいサウンドになっていましたし、録ってみてもしイメージと違ったら、もともとのマイクに戻そうと思いつつ、その新しいマイクで『ALL NIGHT LONG』をレコーディングしました。思っていた以上にものすごくピッタリとハマったので、幅の広いマイクだな、と。
作品のエピソードで言うと、音と歌詞が化学反応を起こし、内からみなぎるパワーというか、そういう熱いものが人間の本能の部分から湧き上がってくる楽曲。これまでリリースしてきたEXILEの作品とは、感情の込め方も全然違いました」
―どのような部分が違ったのでしょうか?
「“〜日本を元気に〜”というテーマのもと活動させていただいているなかで、この『ALL NIGHT LONG』の持つ新しいサウンドと歌詞にどのような感情を込めて、どのような方向性で唄うのかというよりも、 僕のなかでは“無心”をテーマに、“元気”と“力強さ”を表現することが大切だと感じたんです。ライヴやファンの皆さんの笑顔を想像しながら、物事をあまり理屈っぽく考えずに、ただシンプルに楽しんでいただけるよう、そしてアドレナリンが湧き出ているようなパワフルさを表現できるよう、“魂の気がすむまで”唄わせていただきました」
―PVではGREEさんの『聖戦ケルベロス』のCMやゲームとも連動しています。EXILE史上初とも言える壮大なスケールのPVでしたが、いかがでしたか?
「GREEさんの『聖戦ケルベロス』の世界観とPVが連動するという、新しい打ち出し方をしています。GREEさんの多大なご協力のもと、いつも僕らのPVで大変お世話になっている久保監督に今作も手がけていただき、壮大なスケールを放つ映像作品として仕上がりました。ストーリーから、メンバー個々の衣装や武器、キャラクター設定、パフォーマー陣の魅せる本格的アクション、大規模なセットやロケ撮影にいたるまで、本当に細部までこだわり抜いた、ものすごく手の込んだ映像になっています。GREEさんの『聖戦ケルベロス』のCM、ゲーム、『ALL NIGHT LONG』の楽曲とPVすべてが連動しているので、いろいろな方向から楽しんでいただけると思います」
―今作のTAKAHIROさんは、塔を復活させる戦士の役ですね。
「そうですね。魔法陣を使って、13人の神々を呼び起こすというキャラクターでした。“13人の神々を呼び起こす”という、僕自身にとってはなかなかおこがましい立ち位置ではあったんですが……せっかくやらせていただけるので、ドヤ顔で撮影させていただきました(笑)」
―最後に、TAKAHIROさんは、『ALL NIGHT LONG』が聴いていただく方にとってどのような存在になってほしいと思いますか?
「人にはそれぞれ、生きているなかでいろいろな人生の物語がありますし、歩んでいく人生のなかで、それこそ納得のいかない出来事や、壁にぶち当たることがあると思うんです。それをみんなですべてわかり合おうといっても、人と人だからこそ不可能な場合もあるわけで……。そんなわかり合えなかったときや、誰かに相談をすることもできずに自分1人で悩まなければいけないときに、そのどこにもぶつけることのできない感情や内でくすぶる感情を、理由はなくとも自分のなかでただただ好きなことに理性を失うくらいとことん没頭して楽しむことで、気を紛らわせたり、発散させようとしたり、一瞬でもいいから忘れようとしますよね。僕はそういうのもいいんじゃないかなって思うんです。そういう感情を抱えたとき、この『ALL NIGHT LONG』が、皆さんにとっての“理由はなくても好きで、没頭できる場所”のような、そういう存在になれたらうれしく思います。『ALL NIGHT LONG』を好きで聴くことに、特に理由がなくてもいい。“なんか好きかも”っていう、漠然としたものでもいい。この楽曲をとことん聴いて楽しんでいただいて、皆さんが、追われている不安や悩みをその瞬間だけでも忘れられて、それで明日への活力になれたら」
(月刊EXILE7月号より)