EXILE Member 楽曲解説
ATSUSHI
“今”という瞬間を、“今日”という1日を乗りきっていただくキッカケになれたら。その結果、少しでも悲しい出来事が減ることを願って……
―今作の『ALL NIGHT LONG』は、ATSUSHIさんが作詞を手がけられました。どのような想いを込めて歌詞を書かれたのでしょう?
「昨年の『EXILE LIVE TOUR 2011 TOWER OF WISH〜願いの塔〜』というツアーを経て、改めて願うことの大切さを感じた半面、それと同時に、どれだけ願ってもすぐにはどうにもならないこと、どうすることも出来ないこと、時が経たないと解決出来ないことがあるという現実にも直面しました。人には人生においてどうしようもないことにぶち当たったとき、その想いをどこにもぶつけることができないことがあると思います。くすぶり続けるやり場のない想いを持ちながらも、 “今”を精いっぱい生きる。そんなとき、今をただ乗り越えること、今をただ乗りきることが明日の答えにつながるかもしれない。決して“今”を否定するのではなく、希望を込めて、やるせない想いを持っている人たちが、みんなで集まって、この曲で一晩中魂の気がすむまで騒いで叫んで、一瞬一瞬を乗り越えていけたら……という想いを込めて詞を書きました」
―復興支援チャリティソング『Rising Sun』とはまた違った、力強さを感じました。
「僕のなかでは『Rising Sun』の続編というイメージなんです。東日本大震災という未曽有の災害が起こって、“復興しよう”と日本中が立ち上がって希望の光を求めたけれど、いろいろな理由があると思うんですけど、実際被災地では、みんなが思っている以上になかなか復興が進まない現実もある。闇からはい上がり希望の光を感じても、現実は1日1日をなんとかして乗り越えていくことに必死だという、そんな理想と現実とのギャップに生まれるやり場のない想い。そういうどこにも行くあてのない想いを、たとえば一晩中歌って、踊って、騒いで明日からまた頑張ろうって思えるのなら、それはそれで無意味なことではないと思う。それは、被災された方々に限らず、一般の方々も一緒だと思うんです。今日をただ乗り越えることの大切さ……そういう願いを込めました」
―タイトルに込められた想いはどのようなものですか?
「人生で壁にぶつかって、でも気持ちは立ち上がって闇から抜け出そうとしているのに、現実がついてこないとき、不安に押しつぶされそうになる。でもそんなときは、悩んでもどんどん深みにハマっていってしまうだけ……。であるのであれば、一晩中気が済むまで歌って踊って、“考えすぎず、一晩中騒ごう”と。その想いのなかに、“今を乗り越えること、今日を乗り越えることの大切さ”が込められています」
―サウンドも新しいですね。
「そうですね。『Rising Sun』を手がけていただいたクルーと今回またご一緒させていただきました。ピアノの感じも好きですし、オーケストラの雰囲気も入っていて。かつ、今の最先端の流行りの音というバランスになっています。サビでEXILEの持つ力強さを出し、メロ部分では前向きな気持ち、サビではやり場のない想いや怒りを叫ぶ……そういうイメージですね」
―制作期間はどれくらいかかりましたか?
「今年の2月くらいに香港で1度スタジオに入って歌詞をあてて、日本に帰ってきてからもパフォーマーが踊る間奏部分もどういうタイプがいいのか何十パターンも試したり、クリエイター陣と相談しながら細部まで調整を繰り返したので、完成するまでに数ヵ月かかりましたね」
―最後に、ATSUSHIさんは、『ALL NIGHT LONG』が聴いていただく方にとってどのような存在になってほしいと思いますか?
「EXILEという存在が、皆さんにとっての心のカラオケ、心の拠りどころみたいになれたらいいな、と……。この曲をカラオケで朝まで歌いまくったり、家や車のなかでこの曲を大きい音で聴いていただいてもいいですし、どんな場所にいても、たとえ離れていても、やり場のない想いを持ったときにこの歌にのせて、叫んだり、踊ったり、騒いだりして、気が紛れることで、“今”という瞬間を、“今日”という1日を乗りきっていただくキッカケになれたら。その結果、少しでも悲しい出来事が減ることを願って……」
(月刊EXILE7月号より)