仕事もプライベートもうまくいかないOL・河野さやかは、ある夜、マンションの前で行き倒れている1人の男・樹を見つける。
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。噛みません。しつけのできた良い子です。」
酔っぱらったさやかはどうせ夢の中のできごと、と、子犬を拾うように、お腹をすかせた樹を家にあげ、食事を提供。
翌朝、鼻をくすぐる料理の匂いで目覚めたさやかは、料理上手な樹が冷蔵庫の残り物で朝食を作ってくれたことと、その味に感動し、「行く当てがないなら、ここにいたらいい」と思わず言ってしまう。
そして、樹に家事全般を担ってもらう条件を提案し、二人の同居生活が始まる。
草花に詳しい樹は、「ただの雑草」としか認識していなかった野草の名前をさやかに優しく教え、休日になると二人で連れ立って行く河原やお散歩の中で「野草狩り」をしてきた草花で美味しい料理を次々に作ってくれる。
フキの混ぜご飯に、ノビルのパスタ。「こんなものまで食べられるの?」
毎日が、ただただ流れるように過ぎて行くだけだったさやかにとって、樹との生活は新鮮さと驚きにあふれていた。
樹との楽しく、癒される日常。季節の移り変わりと共に、さやかは樹にどんどん惹かれていくが、樹の素性については、踏み込めずにいた。
聞いてしまうと、この関係が壊れてしまうのではないか、と「ただの同居人」としての距離感を保とうとするさやかだったが、あるきっかけで、ひた隠しにしていた自分の気持ちが溢れ出してしまい、とうとう樹に告白する。
しかし、突然樹はさやかの部屋からいなくなってしまう。
彼には、さやかに隠している秘密があった……
はたして、さやかにとって樹は本当の運命のひとなのか?そして、二人が迎える結末とは・・・!